こんにちは。
この記事では「抽象画」の定義や概要をわかりやすくまとめました。
ここがポイント
- 抽象画とは、「具体的な対象を描き写すということのない絵画」
- 抽象画のルーツ1 → 労働者階級の社会運動において、訴えを強く伝えるために生まれた
- 抽象画のルーツ2 → 絵画独自の表現を創り、作品に価値をつけるために生まれた
それでは順に見てみましょう。
抽象画とは?
抽象画(Abstract painting)を一言で説明すると、
「具体的な対象を描き写すということのない絵画」
ということになります。
Wikipediaによると、絵画の歴史は活動の中で目に映ったものを描いた「壁画」から始まり、信仰の対象としての神を描いた「宗教画」、有力者の依頼で描いた「肖像画」を経て、「印象派」から「キュビズム」までその表現において様々な変化をとげてきました。
それまではどの表現においても「具体的な対象物を源泉に描く」ということが行われてきましたが、
抽象画において初めて「対象物を見ずに」描く試みがなされました。
この点において抽象画は美術史上で重要な位置を占めているといえます。
抽象画の時代背景
抽象絵画は1910年代頃に始まりました。
(以下では抽象画の生まれた背景について述べています)
19世紀初頭の産業革命により、労働者階級と資本家の格差が広がっていました。
地位や生活水準が低く、労働環境も劣悪だった労働者たちが起こした社会主義運動のなかで、
メッセージを端的に力強く伝えるために、はっきりとした色使い、デフォルメされたかたちを用いた表現が生まれました。
このときに作られた絵画やポスターが、抽象画の始まりとも目されています。
また「写真の登場」によって、絵画の具象的表現の存在意義がおびやかされた状況において、
絵画にしかできないことを模索し続けた画家たちの、表現における発明のひとつが抽象画であるともいえます。
参考ページ:抽象美術はなぜ生まれたのか?
主な画家と作品
主な抽象画家
抽象画は、
- カンディンスキー(1866-1944/ロシア、ドイツ、フランス)
- モンドリアン(1872-1944/オランダ)
により最初に創始されたといわれています。
他に下記の画家たちが抽象画の担い手の一部です。
- フランツ・マルク(1880-1916/ドイツ)
- パウル・クレー(1879-1940/スイス)
- ピカビア(1879-1953/フランス)
- マレーヴィチ(1879-1935/ウクライナ ロシア ソ連)
主な作品
抽象画の代表的作品のうち、3作品を挙げます。
「コンポジションVII」/カンディンスキー/1913
「コンポジション2 赤、青、黄」」/モンドリアン/1930
黒の正方形/マレーヴィチ/1915
抽象画の反対は?
抽象画の反対は、「具象画」となります。
具象画とは、具体的な対象物をそのまま見えるように描いた絵画で、絵画のそもそもの始まりは具象画であったとされています。
具象画の先にある表現を模索した結果うまれたのが抽象画なので、反対語というよりは母子の関係といったほうがいいかもしれませんね。
参考ページ:Wikipedia
まとめ
- 抽象画とは、「具体的な対象を描き写すということのない絵画」
- 抽象画のルーツ1 → 労働者階級の社会運動の中で、訴えを強く伝えるために生まれた
- 抽象画のルーツ2 → 絵画独自の表現を創り、作品に価値をつけるために生まれた
筆者は個人的に抽象画、いいなぁと思います。なぜかというと、脳と目にやさしいからです。
人間の目はとても高性能なので、華麗に具体的に描かれた絵を前にしたときに感じる「もっとよく見たい! 細かいところも観察したい!」という欲求にも応えられるし、脳は様々な考察を加えていくことができますが、ときに
絵を見るのってこんなに疲れるっけ? と思ってしまうこともあります。
抽象画は色があって、いくつかかたちがあって、それでおしまい。
もちろん抽象画にもいろいろな表現があるし、その生まれた背景は安らぎとは無縁だったかもしれませんが。。
今そこにある抽象画が人をほっとさせるとすれば、画家にとっても嬉しいことかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。