こんにちは。めたろんです。
こんな方に向けて、この記事では室町時代の代表的な美術5点についてイラストと共に解説します。
5分でわかる!室町時代の美術について。
室町時代とは
1336年から1573年、室町幕府によって統治された時代です。
美術の観点からわけると、下記のようになります。
- 南北朝美術 1333-1392
- 北山美術 1392-1467
- 東山・戦国美術 1467-1573
室町時代の美術のポイント
- 平安時代の雅(みやび)な「公家文化」と中国から輸入された美術や禅に親しむ「武家文化」が混ざっていた
- 輸入された中国美術の質が高く大きな影響をうけた一方、枯山水庭園ややまと絵など日本独特の様式も追求された
参考文献:日本美術の歴史/辻 惟雄 著 東京大学出版会
次項以降では、室町時代の美術のうち、特色豊かな下記の5点について、詳しく述べます。
- 能面
- 枯山水庭園
- 雪舟「慧可断臂図」
- やまと絵 日月山水図屏風
- 信楽焼 大壺
能面
能面は、能楽の演劇で使用された白木の仮面で、役者の表情をより劇的に演出するために用いられました。
表情を抑制することで、心で見る余裕を残す「余剰美」という美意識が追求されました。
また、能面は役者が心理的陰影を表現するためのものでもあり、内面の葛藤や感情を表現するためにも用いられました。
枯山水庭園
枯山水庭園は、禅の思想や美学に深く影響を受けた美術形式です。
禅の思想は「物事をあるがままに受け止め深い思考をする」ことを追求していて、枯山水庭園も同様に、自然素材をそのまま利用し、自然の風景をあるがままに表現しています。
水を使わず、石と砂だけで自然をあらわし、その単純なありようが普遍的な美しさを獲得しています。
雪舟「慧可断臂図」
この絵は、禅宗初祖・達磨に入門を願うが拒まれてしまった慧可という僧が、自ら腕を切り落とし覚悟を見せた結果、入門をゆるされたという場面を描いています。
達磨大師が一点を凝視する鋭いまなざしと静的な構図が息苦しい緊張感を生み出しています。
枯山水の項でも述べた「禅」の教えでは、(腕を切り落とすような)極限状況において、心身を超越する境地を目指す修行が重視され、その思想が文化にも影響を与えました。
「日月山水図屏風」(やまと絵)
作者不明の屏風絵(重要文化財)であるこの絵は、特定の名所ではなく、画家の心にうかぶ日本の風景を描き出したものと言われています。山や海原が情感豊かにデフォルメされ、生気あふれる画面となっています。
中国伝来の水墨画が珍重された時代でしたが、日本の風土への愛着も生きていたことがわかります。
信楽焼 大壺
室町時代に盛んに制作された焼物=信楽焼は、茶の湯で使われる茶碗や花入れなども作られましたが、「大壺」は、焼き上がりの色や形状が無作為に任せて自然な風合いを出すように作られ「わびさび」の美意識を体現しています。
まとめ
室町時代の美術のポイント
- 平安時代の雅(みやび)な「公家文化」と中国から輸入された美術や禅に親しむ「武家文化」が混ざっていた
- 輸入された中国美術の質が高く大きな影響をうけた一方、枯山水庭園ややまと絵など日本独特の様式も追求された
いかがですか?
室町時代には心の平穏が求められた結果、自らの内側に向かう「禅」の教えが広まり、無彩色の絵画(水墨画)や表情を排した能面といった作品が生まれ、この時代独特の美が形成されたようですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)/